【果ての家族】11.3話「留守番のソス」

Contents

1

(やっと出たか)

 メイド服姿のソスはシウ、ハテがいなくなったのを確認した。

(ふふ、ふふ、ふははははははは!!
 姉上、父上がいなくなりこの家は私の物となった!! 魔法と言えどしょせんは私の手でどうにかなる程度のもの。大したことはない。
 後は……)

 ソスの口からよだれを垂らして舌でよだれをとった。

(アルカの部屋)

 ソスは己の本能でアルカの部屋へ入る。

「アル……」

 その時だった。ソスの体が浮いて廊下の壁に張り付いてしまった。

「え、なにこれ?」

 アルカはソスの声を聞いて部屋から飛び出した。

「どうしたんですか、ソスさん!」

 ここでソスはひらめく。そうだ、アルカが助けてくれるなら解放してもらいその後の趣味に付き合ってくれるだろう。ならば、無理矢理動かず助けてほしい挙動をすればいいんだ。

「すまない、私を助けてくれないか?」

「どうしましょう?」

 アルカはソスの体を動かすも抜けない。さすがソスの父親ハテ。強力な魔法をしこみ通常の人間どころか原初神にも抜けさせないようにしている。しかたない、無理矢理ぬけるか。

「しかたないな。私がぬけ……」

 無理矢理に壁から抜けようとした時だった。壁から紫色の穴である異次元の穴が開いた。
 ソスはそのまま吸い込まれてしまった。
 アルカはそれを見てあっけにとらわれた。

2

 ソスの目に見えたのはハテがいた無限に続く荒野、無限に広がる青空。果ての世界である。

(なんということだ。父上は私の趣味を知っているからこそしかけた罠もあるのか。盗賊だけでなく私専用の罠まで)

 ソスは歯ぎしりをした。まさか、果ての世界に飛ばされるとは思いもしなかった。
 ソスはどういう魔法が発動したのか考える。これは異界転移魔法だが、原初の力もふくめて飛ばしただろう。そうでもなしないとソスのような原初神を飛ばせるわけがない。
 戻ろうとしても扉が開かない。どうやら、反省するまでいろということか。
 いくら考えても無理だろうと考えて妄想にふけることにした。

*3
 いつごろだろうか。
 ソスが天使たちを多く作った。大量に美しく誰もが認める造形だ。父も兄、姉、妹、弟も。誰もが認めた。
 だが、欠点があるのなら自分と同じ性格だった。
 そう、欲望に忠実であること。多くの天使たちはソスの仕草と生活習慣をマネて多くの世界へ行き愛人たちを作った。これに怒った兄弟や父親もソスに制裁を提案。
 ソスは承諾して天使たちを姉の原初魔界へ向かわせた。原初魔界でまず天使は綺麗すぎる外見は化物に改造して更生させた。
 だが、天使たちはそれでも反省せず破壊活動まであらわれた。兄弟たちは天使の大半を殺処分することを検討した。ソスはいくらか抗議しても兄弟たちは受け入れてくれなかった。しかたないことだ。自分に忠実なソスでは信用されないからだ。
 今もこれからもか。神々の役職を得ていたが天使の一件で追放された。
 愚かな弟が起こした戦争で活躍しても役職は帰ってこなかった。
 昔は「天の大権現」と呼ばれていたが、今は「堕天の根源」と忌み嫌われるようになった。
 シウはああ見えて「原初元帥」と言う神々の軍隊へ高い影響力を持つ。イレーブンは「時空世界探索者」。自分は何も無い。
 そう考えていくうちにソスは気分を切り替えて戻ることにした。

4

「ただいま」

 心を切り替えると戻ってこれた。

「あ、ソスさん。どうしました?」

「……何も」

 ソスは感情を押し殺して取り掛かることにした。メイドの仕事もやって父と姉の帰りを待つことにした。ひまだからアルカと雑談でもする。


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