【果ての家族】15話「三人の黒騎士 5「館内へ」」

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1

 どうやらダイデスは本気らしいな。特上級死神を用意して戦わせるとは……。

「ダイデスはどこにいる?」

「知りませんね」

 でしょうね。言うわけがない。しかし、ロクガと戦っている問題だ。地の利がある。
 まず、後ろにいるのはどう見てもカルマなしが多い。カルマありなら平然と大技で攻撃できるが家族と交えた契約によりカルマなしを攻撃するのは原則禁止としている。つまり、うかつに攻撃ができない。
 それにロクガと戦っても勝てると思うがここで問題が発生する。
 短期戦なら。長期戦になればダイデスがどこかに行くしマリアの居場所もわからなくなる。ここはしかたない。
 私は両手を上げた。

「ん?」

 ロクガどころか他の兵士たちも意外そうな表情だった。

「なにゆえ両手をあげますか?」

「さあな……」

「しらを切るな!!」

 その時だった。後ろから3人の兵士がロクガによってきた。

「ロクガ様!」

「どうした! こっちは……」

「大変です! シンディア様が敵と交戦しているものの決着つかず!! 応援を要請……」

「何を言っている!! 今、目の前にしているのは……」

 今だ!

「あッ!?」

 私は館の壁に張り付き中へと消えた。

「敵が館に入ったぞおおお!!」

 ロクガの悔しい叫びが聞こえる。私はそれを振り切り館へと入る。壁を通り過ぎて見えたのは広い廊下だった。
 白い壁に囲まれ床は白黒のタイルで覆われている。天井には光る魔力石がぶら下がっておりあれがこの館における照明だろう。
 私はバレないよう姿を変えて館を探し回る。

2

 館内を探索すると兵士たちが右往左往と動いていた。なにせ私をが探しているのだから大変だろう。しかし、どこにいるのやらだ……。
 兵士たちの記憶をちら見していてもいると思われる部屋を探してもいない。自室、食堂、武器庫、大広間、隠し部屋とどこにもいない。いったいどこにいるんだ?
 その時だった。

「兵士諸君! ならびに侵入者へ告ぐ!!」

 館内に響き渡る黒騎士と同じ声。何だ?

「我は大広間にて諸君を待つ! 集合せよ!!」

 よかった。探す手間がはぶけるということだ。これで……いやまて。どうしてダイデスが集合させようとしている?
 考えてみればこのまま大広間へ行って兵士たちにまぎれてもダイデスに居場所がバレたら捕まる。逃走はできるけど立て直しになる。
 逆に遠くで見たとしてもダイデスが見逃すわけがない。見られる。
 やはり、大広間へ行くべきか。

「いったいこんな時に何なんだ?」

「侵入者というのに……」

「黒騎士様の考えはわからん」

 歩いている兵士たちの疑問の声が聞こえてきた。
 まったくだ、わからんな。どうしてこんなことをするのか。
 大広間が見えてきた。兵士たちが集まり私は隙間を通して前へと行く。

(え?)

*3
 私は目を疑った。いや、何かの間違いか? ふざけんなと思った。
 黒騎士は3人だ。確かに3人でロクガ、ダイデス、そして今回探しているマリアだ。なのに、私の目にうつっているのは違う。
 5人だ。5人が椅子に座っている。
 増えている。あきらかに増えている。
 ダイデスが操る人数を増やしている。この中に本物のダイデスがいるはずだ。マリアを探すのは限りなく難しい。ダイデスが気配を遮断しておりどうにかできるわけがない。
 兵士たちも疑問に思っている声を出している。

「なあ、黒騎士様は5人だったのか?」

「なんでも侵入者が黒騎士様狙いだから5人にしたそうだ」

「でも、本物は3人なのか?」

「ロクガ様が今も探しているから6人だ」

「なるほどな。じゃあ、侵入者もお手上げだな」

 誰だ? ダイデスの気配遮断で誰が誰なのかわからない。これでは意味がない。どうすることもできない……。

「諸君」

 喋った! しかし、同時に5人が喋っている。

「侵入者はここにいる! 私を探しているだろうが不可能だ。私はこうして5人もいる。5人が喋っており間違えて違う者を攻撃してしまえば失敗は免れない。
 私はお前に屈しない! 私はここにい!! 私は逃げないぞ!!」

 同じ音質、同じ口調、一点の狂いもなく話し終わった。
 ダメだ。やっぱりわからない。5人の誰なんだ? シウを呼ぶか? いやダメだ。呼んでもバレる。
 どうする……そうだ。ダイデスに勝てるのかわからないが、いい手を思いついた。