【果ての家族】16話「三人の黒騎士 6「甲冑の中」」

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 そう言えばマリアは王国騎士団「白き翼」団長アルティ・スワンの妹だったよな。ということは、ダイデスの操り人形化していても多少の反応は示すはずだ。
私は兵士たちに見られないよう顔を変えた。
 金髪、女性の顔、青い瞳。そうアルティの顔に変えたのだ。体つきもそれらしくする。
 そして、私は行動に出た。
 兵士たちの前に出た。

 

「おい、お前」

 

 私は5人の黒騎士の前に出た。

 

「何者だ?」

 

 5人が一斉に喋ったときだ。私は顔を見せる。

 

「!」

 

 5人が一斉に驚く。この中で一人だけ挙動がおかしいのを見渡す。誰もいない。みな、震えていた。

 

「私が誰かわかりますか?」

 

 私はアルティと同じ声で話す。

 

「王国騎士団「白き翼」団長アルティ・スワンです」

 

 兵士も驚きを隠せない。王国騎士団の団長が秘密裏で黒い騎士団の中へ入ってくるのはさず驚くだろう。

 

「おかしい! 俺達があった侵入者の変装だ!!」

「そうだ!!」

「間違いない!!」

 

 兵士たちの声が変装と指摘した。

 

「いいえ、あの方はハテ・ヒート殿でシウから海を救った大恩人です。彼の変装ではありません」

 

 兵士たちの声がざわついた。

 

「彼は私を通らすためにあえて囮になりました。今はもう……」

「嘘だ!!」

 

 5人の黒騎士がそろえて声を言う。

 

「アルティ殿がこんな簡単に潜り込めるわけがない!!

 

 すかさず私は口を止めない。

 

「確かに私は潜入能力よりも戦闘能力が高いのはわかっています。ですが、ここまで陽動をしたのは他でもないハテ殿ではありませんか?」

 

 5人の黒騎士たちは黙り込んだ。

 

「さてと……黒騎士様。マリアを返してください」

「なぜに」

 

 5人の黒騎士たちが声をそろえていう。

 

*2
 さてここから逆襲だ。

 

「マリア! 私がわかっているなら声を出しなさい!!」

「ここは……」

「5人一斉で喋らないで!!」

「!?」

 

 5人の黒騎士たちは黙り込んだ。私が支配する空間が構築されていく。

 

「さあ、マリア。立ちなさい!!」

 

 誰も立たない。ならば、一人一人の挙動を見るしかない。

 

「私はあなたと話しがしたいの。さあ、声を上げて!!」

 

 誰も声を出さない。

 

「どうして声を出さないの? 上げなさい!!」

 

 その時だった。私から見て左から二番目の黒騎士の手が一瞬震えていた。私はすかさずそのものを見た。

 

「私はあなたと話したい!」

 

 一瞬だった。その者はアルティの顔を見ないよう顔を動かしている。マリアだろうと思い私は近づく。

 

「?」

 

 近づかれた黒騎士は顔を上げる。私は黒騎士の兜を力強く外した。

 

「あ……」

 

 髪は金髪、目は青。そして、女性の顔をしている。間違いない。マリアだ。

 

「ど、どうして……」

「挙動でわかった。姉の思う気持ちで見えたのだから」

 

 私は元のハテ・ヒートとなった。

 

「ね、姉様……」

「マリア。お前を家に連れてこいとお前の姉に頼まれた」

「姉様が?」

「ああ。お前のことで心配だからな。早く来い」

 

 私はマリアの右手を引っ張り立たせようとした。

 

「父よ、待て!!」

 

 真ん中に座っていた黒騎士が立ち上がった。自らの兜を外して正体をさらけだす。
 その顔は骸骨でとてもじゃないが人と思えない。

 

「ダ、ダイデス様……」

 

 どうやらダイデスの名前は知れ渡っているのか。なのにどうしてこいつらはダイデスの様な骸骨を見て警戒しない?

 

「父よ! マリアを離してもらおうか」

「契約関係か?」

「違う!」

 

 え? どういうことだ?
 あいつが私情をはさむなんてあったんだ。一切の感情をはさまず地獄に来たものを悔い改めるまで責め苦を続ける地獄そのもののダイデスがなぜ?

 

「……どういう要件だ? 契約以外でなぜ肩入れできる?」

「確かに生者とは契約以外で動かないのが我らの主義よ。だが、今件に関しては別だ」

「なんだ?」

「この者は我が部下を助けてくれたからだ」

「え?」

 

 なんだと? マリアはダイデスの部下を助けただと?

 

「……詳しい事情を聞こう」

 

 問題が複雑になったな。

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