【果ての家族】2話「そんじゃ別の所に行くか」

2017年1月22日

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 しかし、人前で名前を名乗る行為なんてひさしぶりだな。ハテは名前だとしても苗字とかをどうするかだ。人にして「ヒート」にすればいいか。ああ、そうすれば「ハテ・ヒート」とすればわかってくれるだろう。
 しまいに案内されついたのは人口一万人ぐらいの広い町だ。見た所、海は無く内陸の地方都市と言う感じだ。
 姉妹が言うにはここの資源はカバン、化粧品、武器などを製造していることで国から支援金を得たり商人たちがよく来ているらしい。で、この町の名前はテックタウンという。

「いろいろと外から人間が多いな」

「わかりますか。肌や服装を見ればわかりますしね。町長が巨大都市を作りたいという理由で工場を作ってお金がたくさん来て昔より豊かな生活をとれるようになりました。
 今でも町長親子や友人たちが盛んに商人たちの意見を聞いて巨大化させようとしています」

 なるほど、故郷愛からなせる業なのかそれとも己の持つ才能をフル活用して名を残そうということだろうな。で、ついた家だが大きい家だ。この家は姉妹の父親が買ったものだ。
 二階と地下つき、庭もある。元々貴族の家だったらしいが売ったらしい。姉妹の父親の職業は武器工場の支配人だとか。武器をたくさん製造して儲けている。剣、杖、魔導書、盾、槍と何でもござれの武器会社の工場長だ。
 私は家の空き家を借りた。空き家は広く畳が六畳ぐらいの広さを持つ。物は何も置かれていない。もともと物置として使っていたが現在は地下室に入れているらしい。

「どうぞ、好きなように使ってくださいハテ様」

「いいのかアルカ? 私はこんな所に長くいそうろうする気もないが……」

「長くいてください! ハテ様は魔法使いですからもっとたくさん知ってそうですから私にたくさんの知識や技術をください」

 いやあこういうのは魔法の知識だけでいいだろう。私の作った世界に自力で来たら面白半分で渡すけどそれ以外はちょっとね。まあ、別の方法もあるけど。

「ハテさんすいません。アルカのわがままを聞いて」

「ああいいよアルミラル」

 アルミラルはパンを持ってきた。

「そのパンは?」

「はい。ハテさんの世話になっていますからどうかと思いまして」

「すまないな。私は腹をあまり減らない体質でね食べ物はいらないんだ」

「でも……」

「正確には飢えらないんだ。飢えようとする行為はあるが結局は飢えないんだ。もっとも無限に食べ物を食べることはできる。
わかったかい?」

「いえ、まったくわかりません」

 やっぱりな。

「まあ、ようするに。腹減って無くても食べ物はたくさん食べられる。
 悪いが、ここの貴重な食糧を減らしたくないから口につけないよ」

「そこまでしなくても……」

「いや、いいのさ。大丈夫」

 悪いなアルミラル。私はどうしてもこうでなきゃいけないんだ。

「ねえねえ、ハテさま。ハテさまは家族がいますか?」

「家族か。子供が13人ぐらいいて孫が1人いた」

「13人!? すごい大家族ですね……。
 ハテさまは結婚しているのですか? お母さんやお父さんはいますか? 奥さんとか?」

「こら、アルカ。ハテさんにそんなこと……」

「結婚? お母さん? お父さん? 奥さん?
 何それ?」

「え?」

 あ、しまった。13人の子供は異能「創造」で面白半分で作ったから別に女とか男とかそういうの必要ないからな。その場で土でもあれば声明を作れる能力だ。ああ、しまった……。
 産まれてこの方、両親なんて見たことが無い。そもそも、両親と言うのがいたことすらわからない。
 ただ、この場はまずいな。謝っておくか。

「ああ……すまない。実を言うと孤児だったのでね……両親の顔は見たことがないし、結婚していたけど妻の方が先に死んで子供たちは皆独立したよ。
 何せひさびさの質問だったからつい変な答えが出たよ! ハハハハハハハハハ!!」

「そうですよね。アハハハハハハハ!!」

「ふふ、ハテさんも変わっていますね」

 ああ、まったくだ。変わりすぎている。
 しばらく休んだ後に姉妹の両親と食事をした。食事を食べる部屋は広くテーブル長くある。ここでは家族会議を開くときにも使われるらしい。
 姉妹、金髪で黒い貴族の服を着た父ルドルフ、赤いドレスを着た茶髪の母アリシア、白髪で現役少将で軍服を着ている父方の祖父ブレードと食事をする。彼らの家族の名前は「ハリオネット」。
 食べ物はメイドのユリア、カッシが作ったらしく非常においしそうだ。
 この地域にある牛を使ったステーキ、キャベツ、トマト、スープ、パンがある。食欲そそる臭いがしてまさにいものだ。
 私は座るのだが食事をしないからあえて手を付けないことにした。

「ん、ハテ君。食事をしないのかね?」

 案の定、質問が来た。それもルドルフ。

「いえ……」

 いやまて、ここでいったら怒られる。少しは相手の気を配るか。

「ああ、はい。考え事があったのでつい手が止まっていました」

 私は手を進めて食べることにした。

「それと、ハテ君。君は魔法使い以外にもしているとみた」

「ご名答。なぜ、わかったのですか?」

「職業がらでね、相手を見て何をしているのか判断することができる。
 君の場合は魔法使い、戦士、管理業務、農家、建築家と多岐にわたる。まるで生きた万能人間だ」

 こいつ……ここまでするどい観察眼を持っているか。だが、ここ最近やっていることはニートだけどな。

「そこで、君はわが社のために働いてもらいたいのだが報酬ははずむよ」

「金ですか」

 なるほど、金で釣ろうというわけか。多くの人間は生活に困らないよう金をためて生活する。金があれば衣食住を難なくこなせるから越したことは無い。ただし、ルドルフは話す相手を間違えている。

「すいませんルドルフさん。私は、お金がいりません。ここにいなくても衣食住がそろっていますので別段、お金に困るところはありません」

「なるほど……」

 ルドルフの顔が何か予想済みだと思うような感じだ。やはり、魔法使いの才能を与えたから何か違うというのは承知のようだ。
 なるほど、次は何か来るだろうな。

「やはり、長年にわたって人との関わりを絶っているからそういう考えになるのかね?」

「まあ、そうなるでしょう」

「そうか」

 ルドルフはナイフを動かしてステーキを食べた。

「ところで、面白い話なのだが三件いいかね?」

「ええ」

「まずは魔族の話だ。魔族が支配する地下帝国に住む帝王は政治に関わらないがなぜか住民たちを魅了し続ける。どういう理屈か分からないが性別関係なく確実に魅了する。
 つづいて空だ。あそこに天空の島があると近年発見された。望遠鏡で見たらしいが中はどうなっているのか不明だ。もしかしたらハテさんの力を借りれば一日ですむ。
 で、最後のが問題だ」

「どういう意味で?」

 2件は正直なところ、楽勝だ。どう敵がやってきても痛くもかゆくもない。

「最後の一件は……海だ」

「海?」

「ああ。5年前からあらわれたのさ。
 何でもそいつは普通の少女にしか見えないが力が異常に強くてね最初は狂暴な魚介類たちを従えて海を解放していた。おかげで行きやすくなったよ」

「はあ」

「ところがあらわれて2年後だ。何かがおかしくなって俺たちに宣戦布告だ。海は自分たちの物だとほざきやがって漁港を制限した。おかげで海からの貿易は著しく低下したのさ。
 戦ってみたが異常に強くて勝てない……」

「なるほど。で、その少女名前は?」

「ええと、確か……」

 ルドルフは考えて、口を開く。

「シウ」

「へ? シウ」

「そう、シウだ」

「……」

「どうした?」

 いや、嘘だろ? まさか、我が子がここにいるなんて。