【果ての家族】4話「大海の覇姫 2」

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*1
 私達は町から離れて本来なら歩いて3日かかるコースを瞬間移動の魔法で5分に短縮して移動した。
 港町「ハスウィル」についた。人々の行きかいが少ない。どうしたことだろうか、人々は何かにおびえて窓を固く閉ざしている。
 町はいたって何の損傷は受けていない。いや、あるか。少し前に傷がついてあとから修復されたあとがある。ここは誰かに攻撃されたのか。おそらくシウか誰かに。
 我々は黙ったまま港へ向かった。が、驚くべき光景を目にした。
 船が全て壊されておりある船は座礁、ある船は港を乗り上げている、ある船は大量に積み重なっている。誰がこれをおこなった? いや、1人しかいない。シウ以外にありえない。

「もしもし旅の御方ですか?」

 老婆が声をかけてきた。どうやら、この町の住人と見た。

「ああ、はい」

「もしかして、別の大陸へ行こうというのですか?」

「まあ、それもあります」

「やめておきなさい。シウ様がここ一か月、港を閉鎖するとして船を破壊したそうだ。ただ、その間に港から魚はとれませんが、代わりにシウ様が魚を多くやるとして各地の港に魚を提供しました。
 今までにないぐらい大量の魚でしたし、シウ様が壊した家を修復したりしました」

(壊した分を修復か)

 なるほど、住民たちに恐怖をあおってその分の費用は自分が払うというのか。腐るほどの資源を持つシウならではの方法か。シウなら船をたくさん持っていてもおかしくない。やつの次元倉庫を見た時、宝石の他に木、鉄の船を1億隻以上も保有していた。
 やつが船を作れなんて言われても「はいそうですか」と1日で船を返すだろう。こんな行動、やつにとっては初めから計算ずくめの行動だ。
 それに、狙いは私一人だ。私を狙う以外にありえない。

「一カ月過ぎれば優秀な船をやるとしていますが、こっちは船をいち早く再開したものです」

「なるほどね……」

 まったく。ここで、変な恨みを作られるのもいやだな。さて、船が無くなっては困るな。シウが陸地に上がって戦おうとは思えない。シウの得意な場所から逃げようとは思えない。
 ゆえに陸地での戦いは不可能。海でのろう城だから資源はつきなさいし飢え死には不可能。ならば乗り込んで戦うしかない。
 しかし、どうして一か月なんだ? 一年でもいいだろ? わからん。何がしたいんだ。
さてと、ここで問題なのが海に潜ることだ。何せ2人に行くから1人ならいく分は楽だ。アルカをどうすうればいいのかだ……。

「ゴリョウ、ここから先は海の中へと入る。お前は結界を張れるだろう」

「ええ、張れます」

「ただ、シウの本格的な領域20km以内に入れば迷わず私の近くに来い。理由は結界が食いつぶされる」

「食いつぶされる?」

「聞いてもわからないだろう。やつの領域に入れば結界が食われて海水が入り溺死させる算段だ。いいか、迷わず私の近くに来い!!
 いいな?」

「はい……」

 アルカは一応、わかった返事をした。まあ、行かないとわからないところだからな。一度体験してみないとわからない。
 私は薄い透明な結界を張り、アルカも薄い透明な結界を張って海中へと入った。
 海中は暗く見えない世界だ。何がいるのか気になるが見えずらくわからない。
 誰が何をしているのかわからない。ただ、アルカがそこにいるのはわかる。
 それに、魔力索敵を使っているから相手がどこにいるか多少わかる。
 おや、敵さんが来たようだ。
 前方に数20体。それも魚人で種類はサメ型。顔がサメで襲いかかってくるわけか。

「気をつけろ。敵を発見した」

「え? どこに?」

「お前はわからないのか?」

「ええ……」

 しまった! アルカはまだ力になれていないから魔力索敵なんてできない!
 まずいな、試しにアルカで戦わせようと思ったが、タコ殴りにされるのがオチとみた。
 しかたない。
 私がここで全員を足止めるか。

「アルカ、お前は後ろに下がれ。敵は後ろに来ない。来たとしても全てが止まる」

「そんなことがありえるのですか?」

「できるさ。私に戦った弱い者は皆、戦わず敗北した。なぜなら弱いからだ」

「……」

「今、それを見せてやる」

 私はゆっくり目をつぶり、強く目を開けた。目が赤く光る。前方にいた敵はこちらにいることを確認してきた。
 さあ、来い。軽く止まらせてやる。

(敵が見えたぞ!! 隊長、ご命令を!!)

(囲い込め!!)

 なるほど、魔力通信でたがいに会話しているのか。海中では喋りにくいからこうやって会話しているのか。こちらは結界が海中に入っていないし、結界を通じて会話しているから問題ない。

「ハテ様、変な声が聞こえました」

 何? 魔力通信を自然と傍受できるのか? これは驚いた。意外にも早くそれを習得した。だが、もういいだろう。

「さてと、そろそろ止めるか」

(隊長! 敵が何か話しています!!)

(構わん! どうせくだらぬ詠唱だ。海の中で魔法を行使しても威力が軽減される。魔法陣が微妙な形になるからな!!
 さあ、襲うぞ!!)

(了解!!)

 サメの魚人たちが動き始めた。だが、もう遅い。私は目を強く光らせた。

(!?)

 サメの魚人たちや他の魚、アルカが光にふれてゆく。
 そして、赤い光は消えていった。すぐさまアルカが見渡した。

「あれ、何も起きていま……え!?」

 アルカが驚愕するものを見た。先まで襲ってこようとしてきた魚人たちが固まっている。いや、正確には止まっているのだ。まるで石のように固く止まっている。

「こ、これは……」

「どうやら、異能「時間」と異能「目」の合わせ技「停止の瞳」。赤く光らせて相手を止まらせる。
もっとも赤く光らせたのは単に趣味だ」

「で、でもどうやって相手を?」

「ああ、それな。実はまったく見えない微粒子を目から放ちそれが異能「時間」がふくまれた「時間停止粒子」だ。そいつにふれると相手の時間は停止する。まあ、こいつらの場合はざっと1日だろう。
 動かすことはできるし、殺すこともできる。まあ、こっちはそんなことに興味が無い。
 ささとシウの所に行きたいから進むぞ」

 私は結界を動かしアルカとともに進む。深く暗い海の中へと進む。敵と思われる連中が索敵に引っかかったが逃げていった。
 やはり、先ほどの連中の交信が途絶えたことに影響してのことだろう。または、シウの命令で手を出すなとしているだろう。
 どのみちこちらが相手にする必要はないからかえって楽になったな。

「ハテ様……」

「どうした?」

「怖い魔力を感じます」

 そろそろか。シウの領域に近づいてきたな。

「何だか苦しい感じがします」

「なら、私の方に……」

 ん? 索敵に強烈なエネルギーが観測された。魔力……いや、神が持っている神力、霊的構成物質に必要な霊力。
 しかも通常の1000倍の反応。この世界の神とは思えない。やはり、来たか。

「うちの兵隊がせわになったね父さん」

「来たか」

「え?」

 シウだ。それもまがまがしい青色の神力を体に放出して光っている。

「あら、お父さん。かわいい娘つれているじゃない。いい子と考えた」

「ハテさん……」

「ああ、わかってる」

 アルカが気になったか。

「ハテさんの子供ってあの人ですか?」

「ああ、シウはそのうちの一人だ。と言っても気にするな。今いるシウはただの触覚だ」

「触覚?」

「やつの本体はこの世界とはまた別の世界にいる。目の前にいるのは力を抑えているシウだ。自動で動いているが本物と行動は何ら変わらない。
 ただ、ここで戦ったのは本物も記憶しているだろう」

「……」

 アルカがあっけにとらわれるのも無理はない。我々のような種族は類稀に見る強力な力を持った正真正銘、神の力を行使する実力者たちだ。他は別の創造でなった者が多い。しかし、本当の意味での神の力を持っているのは私と13人の子供たちと肉を与えた6人仲間だけ。
 シウはその中でも海を司る神であらゆる海の者は従わざるおえない。どんなことであろうともだ。

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