【果ての家族】6話「大海の覇姫 4」

*1

「そっちは力を解放したか。私の方も準備はOKだ」

 私は振り向きシウを見た。

「おい、親父。クソ人間はどうした?」

「逃がした」

「へえ、そうかい。ならこいつを受け止めてみな!!」

 強力な波が襲いかかった。まずい、これは本体を呼びだすための電波だ。
 本体が来たらさすがに私も少しだけを本気を出さないといけないが、そうなるとここに住む住人たちが半数死ぬ。
 ならば、これでどうだ。

「ん?」

 私は右手をかざして緑の光を放った。これは子供たちにのみ適用される「次元閉鎖」。通信を遮断して召喚魔法を封じる。本体召喚はかろうじて封印した。だが。

「そいつを狙っていたんだよ親父ぃ!!」

「やっぱりかああああ!!」

 触手攻撃で結界が揺れた。
 やはり、力だけは遮断できなかった。本体召喚までは防げたのに力の流れだけは無理か。しかたないな。さらに力を入れて。

「そうすると結界が弱まるだろ!!」

 触手の攻撃が激しくなる。結界にひびが入った。

「やっぱり親父ぃ!! てめえは老いている!! 老いて戦闘経験が減少してアタシのようなやつに負けやがるぅ!!
 昔のあんたは強かったよぉ!! それがどうしたのかね、弱いんだよぉ!!」

「悪いな。昔のように暴れたら近所迷惑になるから抑えているのさ。
 誰だって迷惑はかけたくないしな」

「そこが弱いんだよぉ!!」

 触手を強く飛ばし岩に叩きつけた。結界のひびが広がっていく。

「さあてと、そろそろ」

「終わりだな」

「ああぁ!! そうだよぉ!!」

「お前がな」

「え?」

 間に合ったよ。シウの体に石の爆弾がとりつき大爆発を起こして傷ついている。つぎつぎと爆発を起こして苦しんでいる。
 アルカを生体改造したのは、シウの隙を突いて攻撃すること。本当なら私一人で攻撃したかったが本体を出すなら抑えなければならない。これによりアルカが攻撃に回らなければならないし攻撃できる力をアルカにコピーさせあとは人魚姿にして攻撃している。

「くそぉ!」

「どうした? 見えないのか?」

「どこだぁ!?」

 シウはいくら周りを見渡しても何も見えずどこにいるのかわからない。攻撃は受けているがどこにいるのかわからない。
その時だった。かすかにみえた。
 赤い髪をして赤い目の赤いウロコを持つ人魚。あいつだと見てシウは触手を伸ばしていく。

「残念だったなシウ!!」

「え?」

 私は結界を解きシウの触手をつかみかかった。

「しまっ」

「もう遅い!!」

 シウの触手ごとシウを岩に叩きつけた。

「ぐぅ」

「まだまだ」

 続いて海底、岩山、海底、岩山、海底、岩山、海底、岩山。そして、最後は私のゲンコツだあ!!

「がはぁ!?」

「痛いか?」

「苦しですぅ……」

 どうやら、まいっているようだな。

「もう悪いことはしないだろうな? シウ」

「はい、すいません。お父様……」

「本当かシウ?」

「はい、もうしわけございません……」

 多大に反省しているようだ。これなら、もう責めなくてもいいだろう。おや、アルカが来たようだ。

「大丈夫ですかハテ様」

「ああ、なんとかな」

 かわいい人魚となったアルカが来た。これで、なんとか海は大丈夫だ。

*2
 我々はシウを捕まえて国中で英雄として称えられた。捕らえられたシウは弁償で船を支給した。どれも使える船でいい素材で作られている。長く持てるよう設計しているのはシウのこだわりから来ている。
 シウは払った即日で国の首都に連れて行かれギロチンにかけられた。これで、海を悩ます大悪女の死は大陸中に広間まり安直することだ。まあ、これでなんとかなったな。
 アルカは何事もなかったかのように帰宅して影武者と入れ替わった。それと、禁則を解除してもとの本名で名乗れるようにした。
 私は報酬を多くもらい家を1つ借りた。もちろん、アルカの家の近くだから歩いてこれる。平屋で魔法警備システムを入れて盗人が入ってきても自動で魔法陣に捕らえられる設計だ。まさに巨大ゴキブリホイホイ内臓の家と言うことだ。
 さあてと、いい生活が待っているぞ!!

*3
 次の日のことだった。雨が降って自室で寝ている時だった。玄関に誰かが来ているようだ。
 こんな時に誰かと思い扉を開けた。
 青いメイド服を着た青い色の髪に青い目の少女だ。なるほど、メイドに雇われたいようだ。傘をささずにくるなんてなんともドジな子供だ。
 でも、待てよ。
 青い髪に青い目に青い服……え? ちょっと待て!

「やあ、お父様」

「はぁ?」

 え、嘘だろ? 何で?

「お父様。私ですよ。わ、た、し」

 まさか、シウが来たのか? どうしてだ?

「何か心配していますね。私は触角を再び放ちお父様へ会いに来ました。今はメイドと装いお父様に近づきお父様に尽くしてふたたびここで拠点を築こうと思います」

 うわあ……どこまで強欲なんだ。

「どうか、私を雇ってください」

「ああ、うん」

 断ったら戦いになるし雇うか。

「で、返事はどうですか?」

「もちろん雇うよ」

「ありがとうございます。お父様」

「ハテ様」

 外からアルカの声が聞こえた。傘をさしてこっちを見ている。

「どうしました? その人はいったい……」

「おいクソ人間! 誰に向かって口を聞いてんだコラぁ!!」

「ん、何よあなた。私は何も……」

 ああ、ダメだ。やっぱりこうなった。シウは非常に傲慢だから自分より下を見るとすぐこうなる。

「何なんだ言ってみろよ! あぁ!!」

「こんな喧嘩腰の人は見たことありません。警察に……」

「やってみろよぉ! やってきた……」

「やめろ二人とも」

「いてっ」

 私はシウにゲンコツをくらわせて黙らせた。

「すまんなアルカ。こいつは極度の自信家で自分以外を認めようとしない傾向が強いから注意してくれ」

「それで、このような人が来たのは?」

「うるせえな! てめえごときがどうこう……いてぇ」

 私はふたたびゲンコツをした。

「つまり、こいつの親が性根を叩き直すためによこしてくれたというわけだ。

 見たかこの性格の悪さ。類稀に見る大バカ者だ」

「確かに」

「う、うるせえ!」

 泣きながら答えるシウ。あきれたものだ。

「で、こいつの名前はシエル・クリーム・シュー。金持ちの令嬢で非常に友達付き合いが無く友達を作ろうとしないんだ」

「弱い奴が……いてぇ」

 また、ゲンコツだ。歯を食いしばれ。

「と、まあ両親から強くしつけろと言われた。「ハテさんはシエルのどうしようもない根性を叩き直せるのならありがたいことです。このバカ娘のふざけた部分を治してください」とね。両親も大変悩んでいたよ」

「これってシウを倒したからでしょうか?」

「まあ、そうなるな」

「てめぇら先から……いてぇ」

 減らず口が治らねえ我が子だ。

「ささ、こっちは早くやりたいことがある。このどうしようもない使用人を使って部屋の整理もさせないといけないし空き家を改造しなければならない。
 よし、アルカも手伝うか?」

「うーん。嫌な人ですけど――――考えようによっては仲直りができるかもしれません!」

「はぁ! 誰がてめぇなんざ……いてぇ」

「と、こいつのことはいいから、ささとやっちまおう」

「はい!」

「うぅ……」

 殴られた頭をおさえるシウを連れて中へ入る私とアルカ、シウで部屋の整理をしたり持ってきた備品を室内に配置した。

「わあ、すごい真珠」

 サッカーボールなみに大きい真珠だ。これもシウの自慢の品だが持ってくるとは思いもしなかった。

「だっ!? 何をやってんだコラっ! それ、アタシの大事な宝物なんだよぉ!」

「ご、ごめんなさい」

「いいから、アタシに渡しな」

「はい……」

 少しはやわらいだようだ。まったく変わった娘を持つのも大変だ。


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