【果ての家族】7話「時間神探し 1」

*1
 少しい落ち着いて一週間後のことだ。

「何だって!? それは本当か?」

「ええ、そうです」

 シウと私は椅子に座っていた。
 朝飯にパンと焼き魚をテーブルに出されて食べている最中だった。まさか、他の連中が来ていたのか!!

「シウ! 他に知っている連中は誰と誰だ!!」

「ええと……」

 シウが書き記したのは以下の名前だ。
 3番主神ホグナー。この間、休みと言う理由で来ていた。ただ、どうも違うとか。
 5番大天神ソス。空の旅を満喫していた。空に巣があるらしい。
 6番大地神リグ。地下にいるそうだ。で、そこでカリスマ性を発揮して信者を増やしているらしい。
 8番豊穣神アーグ。この世界のどっかで田植えをしているらしい。何せ農業大好きだからな。
 9番知識神オーオ。図書館作りに熱中しているとか。知識好きだからな。
 10番時間神イレーブン。普段から顔を見ないが、この世界に漂流したとか。
 11番夢幻神ヴァーイ。なぜか来ていた。普段はホグナーの側近を務めているのに何かあるだろう。
 12番守護神メノス。たまにこっちに来る。一番忙しいはず。
 13番目のダイデスは来ていないな。

「なぜ、この世界に来ている? わけがあるのか?」

「わけなんてないけど……しいていえばアタシやリグ、イレーブン、アーグ、オーオ、ソスは暇つぶしみたいなものよ。
 調査と言う意味ではホーグ、ヴァーイ、メノスよ。デゼロが来なかったのが意外だけど、何がしたいのやら……」

「なるほど、順当なやつらばかりというわけか。
 リグ、アーグ、オーオ、ソスはどこにいるのか探せばわかるにしてもイレーブンは難しいぞ。何万年もあいつにあってないし今はどういう姿をしているのかわからない」

「ええ。アタシも暇つぶしで探したけどいなかった。何せアタシたちと違う異空間で生きているからこっちがどうなっているのかわからないし何をやっているのか……

「どうやっているとわかった?」

「ホグナーがいるって言ったからよ。試しに索敵したら時間空間の中にいたとか。でも、何に引っかかっているのかわからないけど……」

 

*2

 なるほどな。イレブンが何かに引っかかっているのを索敵したわけか。

「で、どうする? ひさしぶりの娘に会いに行くとか?」

「まあ、いいけど……」

 まずいな。イレブンの本体を引き出すことになると時間停止現象が発生しこの世界どころか他の世界を巻き込みかねない。そうなるとやつが最も嫌っていた触覚を作らせるか。なにせ、ひさびさに顔を見ないといけないからな。
 ただ、触覚作りになると私とシウだけでもできるが、そうなるとシウの本体を呼びだしてしまうほど力がいる。アルカを入れたら少しは穴埋めになるが、やはり決定打にならない。混沌だったらよっかたのにこうも世界にいるとは思いもしなかった……。

「暇な奴はいるか?」

「ええと……ああ、いた!」

「どこに?」

「空島にソスがいた」

「そうか!」

 やはりと思っていたが、ソスか。あいつは空が大好きで創造によって空島を造り居住地としている。この様子だと簡単にあえるかもしれない。

「さっそく行くとするか」

「え、もう行くの?」

「ひさびさの娘たちに会おうと思ってな」

「……はい」

 なにせ一万年ぶりにひさびさの娘と会うからな。空島にいるソスを起こすか。

「そうそう、アルカも連れて行くか」

「え? あのクソ人間と」

 シウは不満に思っていた。やはり、あの戦いで傷をつけられ敗北の原因だったことを引きずっているようだ。

「不満か?」

「……いいですよ」

 シウはいやいやだった。アルカを即日に呼び出し家へ連れてきた。

「ハテ様……」

「おい、てめぇ」

「シエルさん……」

 シウはまだ喧嘩腰だ。しかし。

「……わるかった。喧嘩はしねえから仲良くするようやりなよ」

「……シエルさんこそその喋り方をやめたら魅力的ですよ」

「う、うるせえ! 余計なお世話だ……」

 シウは赤面して視線を地面の方向に向けた。その時だった。

「たのもー!」

 

*3

 力強い女性の声が聞こえた。誰かと思い私は「はい」と答えて向かった。
 玄関を開けるとそこにいたのは槍を持った白い甲冑をまとう銀髪の騎士だ。顔は女性でどこか品がある。
 見た所、一人のようだ。

「そなたがハテ殿か?」

「ええ……そうですが? 客間へ案内しましょうか?」

「ありがたい」

 こんな時に何の用事だ?
 私は客間へ案内した。客間は玄関の近くに置いており豪勢な部屋としている。ホグナーが「見栄っ張りにすれば相手に好感を持つ」と言われたから見栄っ張りにした。
 高そうな金細工の品々、赤いジュウタンに赤い椅子、赤いテーブル。シャンデリアも豪華にしており落ちないよう工夫している。
 そして、絵画はこの世界になく全世界の神々が6割認めた絵画のコピー品を4点飾った。泣き叫び狂う女の絵を描いたヒュートン作「狂った女」、一番大きい国王やその多くが大勢に集ったケネス・ハリオット作「12001年バルス国王家族とその配下の集合」、綺麗な山の風景画を描いたアンデルセン・スメルジャコフ作「ある日の山」、虹の渦ばかりが一枚の紙に覆い尽くした不気味な絵を描いたハリー・ボンド作「悩み」。どれも悪くないだろう。
 私と客は椅子に座った。

「シエル、お客様にも紅茶を」

「はい」

 シウは紅茶をテーブルに置いた。私と客はそれぞれ紅茶を少し飲んで話をする。

「私は王国騎士団「白き翼」団長アルティ・スワンともうします。国王陛下の命令でハテ殿に頼みたいことがありまして」

「はあ、急いでいるので手短に」

「そうですか。単刀直入で私の娘の師事をしていたと思いまして」

「……何」

 私がアルカの家族に知った魔法を即教える情報は国王どころか国王の近辺にまで情報が届いているのか。なるほど、国王とつながりがあるのはアルカの父ルドルフか。と、すればルドルフから見れば少しでもおぜん立てができるよう有益な情報を流したということか。
 ルドルフめ、余計なことを……。

「内容は何でしょうか?」

「私の娘に武道をならわしたい」

「え?」

 何とも意外なことだ。魔法を教えることならまだしもまさか、武道だとは思いもしなかった。

「なぜ?」

「我が家は誇り高い貴族の末裔……」

 記憶参照をしたらその貴族とやらはその昔「国中を荒らしていた盗賊で国王の敵を殺したことで貴族として祭り上げられた」らしいな。この女はそのことを知っているが、先祖たちを侮辱せず自分たちにこの地位を与えてくれた大切な存在と見ている。
 まったく、いい女だ。

「スワン族は武道を極めることを生きがいとしています。ゆえにスワン族が全武道制覇のためにぜひともハテ殿の力がいります。
 どうかお力を……」

 なるほど、国王の威信よりも自分たちの一族が持つ力の増長か。確かに面白い話だな。

「すまない、優先することがあるので後に回してくれないかな」

「後ですか?」

「噂で聞いたが……確か国王が「空島に昇った者に報酬を上げる」と言ったな」

「ええ」

「それやろうと思うが……いいかね?」

「な、空島ですか!?」

 アルティが驚いて立ち上がる。

「いいだろ? シウを倒した私だからこそやれる事業かもしれない。それに、国王にこれを報告して国王がめずらしいと思い見るかもしれんな」

「……確かに陛下が見たら楽しいでしょう。わかりました、空島の旅が終わり次第、こちらへ来てください」

「ああ、わかった」

 アルティは一礼をしてさった。まさか、空島へ行く前にこんなことが起きるとは思いもしなかった。
 さてと、空島へ行くとするか。


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