【果ての家族】9話「時間神探し 3」

Contents

1

「父上、イレーブンを呼び戻してもまた異空間に入るのでは?」

「いや、もう起こすことにする。これ以上は寝かせない」

「と言うことは父上、姉上と私を合わせて異空間から呼びだすことになるのでは?」

 露出狂な恰好をしているわりに正確な答えを言うソス。

「そのつもりだ。お前も来い」

 ただちに我々は外に出て異次元空間にいるイレーブンを呼びだすことにした。私が黒い魔方陣を草原にはりつけた。

「いいか、本来なら家族数名でやる予定だったが私の力で補うことにする」

「でもさ親父。もともとアタシたちよ上の親父の力なんざ比較にならないだろ」

「う、うるさい! さっさとやるぞ!!」

 言われてみればそうだな。

2

 島中に大量の魔法陣を描いた。イレーブンを呼び出すには神といえど最上級神レベルの神が50体以上、原初神なら1体以上、イレーブンと私なら1体で十分。
 私が来たのはまさかのことを考えたからだ。
 イレーブンのいる時空世界はいまだ未開の地。時間そのもの世界と言えるもので入れば自動で時が止まり動けない。
 この世界の耐性は希少異能の1つ「時」か、最上級神が持ち得る異能「神権」、原初神の異能「原初」しかない。
 そのため、ごく限られたものでしか入ることができない。イレーブンと私を除いて。イレーブンは奥まで到達したという。私も奥へ到達。
 イレーブンの時間干渉は強く他とかけ離れている。おそらく奥に行っているだろう。奥に行けば呼び出すための数が増えるだろうからあえて私もついたのだ。
 

「いいか、精神を集中させろ!」

「はい!」

 私、ソス、シウは魔力、神力、霊力とあらゆる力を放出した。それはこの世界を覆い尽くさんとするほど巨大な魔力であった。

「な、なんて魔力……」

 アルカの言葉はあくまで一般人の視点だからだ。これは各分野の力を凝縮して使う魔法陣。
 魔力もあるが神、霊、気と多数の力を内包しているので魔法に近いが異能も含めた力もあり「形容し難い力」といえるかもしれない。
 すると空に裂け目がはいる。時間が立つとさらに大きくなる。
 そして、空が割れた----。

「な、なん……」

 空から巨大な黄金の歯車が見えた。その歯車は巨大でまるで星ほどの大きさだ。その時、私は周りを見渡した。
 その者が出たと同時に風で舞っていた葉が止まり、アルカも何かを言おうとしたが止まっていた。そう、あれこそ私の娘であり時を司る原初神イレーブン。時を操り本体が降りれば世界の時を止める程の力を発揮する。
 空を揺るがしかねないイレーブンは異次元の裂け目を作りどこかへ逃げた。
 我々は魔法陣を解いた。

「どうやら戻ってきたな」

 私はホッと一息ついた。

「え、何がですか?」

 アルカは何もわからなかった。

「見えなかったのか?」

「確か……歯車が空から出てきて……気がついたらいなくなっていました……」

 それが、一般人から見た普通の答えだ。イレーブンを見るには時に対する異能だけでありそれ以外は必要ない。つまり、イレーブンの時の異能の前では誰しもが止まってしまうからだ。

「たく、あいつの力は強くなってないか? 化身が壊れちまいそうだ」

「姉上の言葉も最もだ。こんなことを耐えられるのは化身でなく本体で来た父上だからこそだ」

 二人の意見はもっともだ。イレーブンの力は強くなっている。二人がここまで苦戦しているのはよっぽどだ。さてと、イレーブンは呼び出されたら何か残すだろうけど……。

「おい」

3

 私は後ろを振り返った。後ろに赤の短パン、黒い靴に黒い靴下、黒いTシャツを来て、赤い縁のメガネをかけて黒い髪の女がいた。

「だ、誰……」

「おめーか? 時空世界の探検していたのを邪魔したのは?」

「え、ええ?」
 

 アルカが困り果てていた。

「私だよイレーブン」

「ん? あ、父ちゃんか」

 そうこいつがイレーブンだ。原初神の中でも少し変わり者で変わった所へ行くのが大好き。時空世界もその1つ。
 何より動き方も変わっている。
 イレーブンは両手を上げて両手の指どうしの間を入れて体を左右に動かしながら歩いてきた。

「何だその歩き方?」

「ストレッチ。これぐらいしてもいいでしょ?」

「私たちに必要か?」

「必要も何も楽しい」

 イレーブンは人に迷惑をかけない程度の範囲で楽しいことをする。だから、これは楽しいことの1つだ。

「父ちゃん、呼び出したのはいいが、なんかよう?」

「ひさびさに家族に会いたいと思ってな」

「でも、父ちゃんの家に全員を呼び出せばいいんじゃない?」

 それを言われたら何も言い返せないな……。

「いや、この世界に来てたまたま娘二人と会ってさ……家族に会ってないことが多いかったし……」

「いいよいいよ父ちゃん。私も家族と会っていないだろうし。姉ちゃん達も元気だし何よりだ」

 イレーブンは喜んでいた。

「んなことより、おいメガネ」

 また、喧嘩を売り始めた。シウは弟や姉たちへのなめた言葉を言うのが好きだ。多くの者はスルーするが、イレーブンは別だ。

「メガネ言うなクラゲドラゴン」

「おい、クラゲは余計って言ったよな?」

「テメエの一言が多いんだよクソ姉」

「あ、だとテメェコラ!」

 どういうわけかイレーブンもシウと似ている。喧嘩したのは何度もありだいたいイレーブンが勝利する。そのため、シウからすればイレーブンは目の敵になっている。

「口変わってねえなおい。あいさつの代わりだって言ってんだよ」

「こっちが下に出てたから調子乗んじゃねえよ海蛇もどき。何度負かされたら気が済むんだ?」

「今度はテメの口が聞けねえように……」

 私はふいに二人の頭を素早く殴った。

「いってえ……何すんだ親父!!」

「痛いよ父ちゃん……」

「お前らがここで喧嘩したら誰に迷惑をかけるんだ?」

「……そうでした」

 二人は謝った。

「父ちゃん、今は父ちゃんのところを離れてみんなのところに行く」

「おお、そうか行って来い」

「うん」

 イレーブンは姿を消した。

「不思議な人ですね。イレーブンさんはシューさんとよく似ていますね」

「ああ、そうだ。なにせ嫌なところがよく……」

「おい」

「あ、はい」

 まったく嫌な娘だ。

*4
 館に戻る私達。整理整頓して出ていったからちらかっていない。

「アルカ殿、私はハテ様の娘ソスと申します」

 こいつ、何も隠さず本名で名乗った。まあ、シウと比べて悪行なんかしていないしいいか。

「何でしょうかソスさん?」

「これを……」

 ソスはピコピコハンマーを右手から出現させアルカに見せた。

「何でしょうか? 持っていると軽いですね」

 ピコピコハンマーをアルカが持った。それはそうだ。材質は軽く作られて……。

「なんでもいいからこれを使って……」

「フンッ!」

「ゲバハァッ!?」

 私はソスの顔に思いっきり右エルボーを食らわした。ソスは痛みを感じて顔をおさえながらうつ伏せになった。

「ゲホ、ゲホ、ゲホ……」

 呼吸が苦しくなりのたうち回る。

「ソス、まだ年端もない子供にそんなことを教えるか?」

「うぅすみません……」

 ソスは立ち上がり謝罪した。ピコピコハンマーを返されて部屋へ戻っていく。

「ハテ様」

「どうしたアルカ?」

 アルカは何か疑問に思っているようだ。

「どうしてそんなにソスさんを嫌っているのですか?」

 いや、むっちゃくちゃありすぎる……。
 あいつのやり方が自体が異常。
 そもそも、あいつが作った天使(通称:原初天使)は今いる現在天使と比べて堕天使の原型と言われている。
 元々、悪魔といったたぐいは魔法に関して強く研究して行き発展することだった。ところが天使は欲望だけで発展しない。そのため、美貌を売りさばき多くの人々に迷惑をかけた。
 これがきっかけで兄弟たちといざこざが多発して取締が強化された。
 ソスの天使たちの多くは原初魔界に連れてこられ更生のため形を変えさせた。不満は多かったがそれでもやってのけた。
 現在の天使もソスが作った美しい天使たちを参考に作っているが、やっぱり堕天する者は堕天するな。オリジナルもコピーも似たようなものか。
 今もそのことで兄弟たちといざこざが多発している。天使を醜くするなと。親として子を守る姿か。

「まあ……いろいろとね……」


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