【果ての家族】10.5話「シウの親子話」

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Contents

1

「アルカ、こっちに来い」

 シウがアルカに話しかけた。

「なんですかシウさん……」

「ここではシューだろ」

「はい……」

 アルカはイレーブンを呼び戻す作戦前にシューが処刑されたシウとわかっていた。無理もない。
 なにせ変装が下手くそで装うどころか自己主張が激しく偽名の意味がない。わかってしかたないのだ。シウもわかっており深く突っ込まないようにしている。
 シウはアルカを部屋に連れてきて話し始めた。

「なあ、アルカ」

「なんですか?」

「彼氏いるの?」

「う……」

 アルカは赤面してしまった。無理もない。
 アルカには彼氏もいないしどうしようもない。

2

「まあ、無理するなよ。アタシなんざ5人いるさ」

「5人ですか?」

「ああ」

 シウは誇らしげに語る。

「全赤珊瑚管理人、全真珠管理人、龍神軍団団長、スーパースター人魚、あと最もお気に入りとかね……」

「みんな神様ですか?」

「そりゃあ全員そうさ。アタシが神格を与えて強力存在にしているさ。
 まあ、海の所有量なら誰にでも勝てるアタシならではの発想さ」

「なるほど。では、ソスさん……」

「ふざけんじゃねえよ!
 あんな男女問わず一万人以上の愛人がいるような変人だぞ? アタシをあんなダメ妹と一緒にすんな!!」

 すごい拒否反応だ。
 実際、原初神は側近が何人も存在しその多くが実力者だったりする。

「イレーブンさんは……」

「弟、妹中ではあいつだけ側近がいない」

「? 何でですか?」

「あいつなら余裕で10人ぐらい側近は作れるのにな。なにせあいつは「面倒」ってだけでやめちまった。
 神のこととか結構やれば楽しいのにそこまで頭が無いんだろうな」

「なるほど。それでは、ハテ様なら」

 その時だった。シウの顔が暗くなった。

3

「親父については少し違うことも入るがいいか?」

「え、はい」

「親父はまず、果ての神だ」

「はい」

「性別がない」

「え?」

 何を言う? 「親父」と言っておきながら性別が無いとはどうかしている。

「どうした?」

「シューさんは親父って……」

「あれは便宜上だ。おふくろでもなんでもいいのさ。
 そもそも、親父に名前なんざありはしない。親父は親父なんだ」

 アルカには受け止めがたい事実だ。
 ハテに性別や決まった形などありはしない。決まった異能など存在しない。
 自分から子供を作れる。創造ではなく自生である。

「親父に関しては異能「創造」でアタシたちを創造したというより自分から産んだというのが答えだ。
 そうじゃないと辻褄が合わない部分がある。
 親父のDNAを受け継いだとかな」

「そもそもシューさんはどうして産み出されのですか?」

「兄貴の補佐さ。今は必要ないが昔は人手が足りなかったのさ」

「なるほど……話がそりますけどいいですか?」

「なんでもいいぞ」

「ハテ様を含めて誰が強いのですか」

「親父だけだろ」

 わかっていた。しかし、なぜ強いのか知りたい。

「なぜ?」

「親父にしかできないことが多すぎる。あらゆる生命、世界の法則を握っていやがる。
 アタシたちでも握れなかったのに親父だけ握れている。
 お前が神になったとしても握れるのは創造した体と世界だけ。親父が握れるのは世界すべてだ。
 誰しもが握れなかった魂すらも握れる。親父は別次元だ」

「……」

 ハテは子であろうとすべてを握れていた。まさに最強の名にふさわしい。
 でも、おかしい。なぜ、そこまで横暴になれない?

「そういえば、どうしてハテ様はそこまで世界に興味が無いのですか?」

「ああ、それはな親父の長いが孤独がそうさせたからさ」

「長い孤独?」

「そう。
 普通の人間なら発狂する孤独を耐えて暇つぶしで世界を創造して魂も作った。
 おかげで客観性がなくなり主観性だけが残ったという感じだ。今ある命と自分が住む世界で十分。
 他は息子、娘がやるからいいやとな。
 おそらく誰よりも命と世界について理解しているだろう。壊し方も作り方も……」

「……」

 何も理解できなかった。ハテの生き様はあまりにも規格外すぎて当てはめようもないものだ。
 どうしようもない生き方をしていたとしか言いようがない。
 最初の生命だからこその孤独があったのだろう。

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