【果ての家族】11話「三人の黒騎士 1」

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1

「こういうことは外部の者に使わすのはどうかと思われますが……」

 客間に我々は今いる。
 雰囲気は非常に緊迫していた。と言うよりも今回の案件は非常に大きい。今、目の前にいるのは王国騎士団「白き翼」団長アルティ・スワンであった。

「三週間前、私の妹マリアが家出をしました。騎士団総出でかかりましたが、いっこうに見つかりません……」

「妹が見つからないから我々にと……」

「そうですが、もう1つ奇妙なことがありまして」

「奇妙な?」

「ええ。マリアと思わしき人物がここ最近あらわれた賞金稼ぎ集団「黒い騎士団」の一員にいると聞いています」

「黒い騎士団……」

 黒い騎士団とは二週間前にあらわれた名うての賞金稼ぎの組織と言われている。各地で多くいる犯罪者集団をここ最近2割減らした強力な連中で他の業界から尊敬されている部隊だ。
 ちまたでは「国よりも仕事をする」、「悪あらば殺す」、「黒い執行人」と言われるほど二週間で多くの異名を持つ。
 その二週間前に活躍していたのは黒い甲冑をまとっている3人の黒い騎士。通称「初期三騎士」と言われている。同じ形、同じ大きさで誰がどれに入っているのか不明。しかも、声はわからないのでいかんせん正体は明かされていない。
 現在は多くの兵たちが入っているものの彼らのような騎士装束ではなく各々が黒い服を着て活動している。

「マリアは黒い騎士団の本部「黒い館」に一人で入りました。本来なら3、4人で入るそうですが1人で入るのはおかしいと思われています。よほど待遇がなければありえないらしいです」

「誰かその情報を?」

「私の部下を黒い騎士団に潜り込ませて得た情報です。この騎士団はハテ殿と同等ではないかと思われます」

「同等?」

 面食らったな。まさか、私と同等の力を持つ勢力がこの世界にいると思わなかった。

「この黒い騎士団は一週間前に滅亡した神聖ラグナロク帝国を滅ぼしたと言われています」

「へ?」

 神聖ラグナロク帝国と言えばラグナロク教を崇拝している国家。武力は強いが商業にとぼしく資本面は弱い。ただ、教会の商品の売れ筋はいい。
 帝国の評判はあまりよくない。黒死病が蔓延した時、王国は治療可能だがラグナロク帝国は宗教から離れる恐れがあって解明を妨害して大勢死なせた。他には神父たちが悪行三昧なことをしているとか言われているし、その教皇もクズだとか。上から下も最悪な場所だ。
 で、そのクズの巣窟を黒い騎士団は一日でラグナロク帝国の中枢を壊滅させ大勢の聖職者や兵士を死なせた。死因は心臓麻痺。
 世間では「神罰事変」と言われているが、実際は黒い騎士団によるなんらかの儀式でおきた物とされるのが通説とされる。しかし、証拠がなく誰も黒い騎士団に対して何も言えない。
 現在、ラグナロク帝国は王国や他の国々に領土を吸収されいいように扱われている。住民たちは腐敗聖職者たちを殲滅させたのはいいがかえって生活に苦しんだ。

「確かに黒い騎士団は神罰事変でラグナロク帝国を滅ぼしたのは事実とするけども……」

「その時に莫大な計測不可能のエネルギー反応が観測されました。とても普通とは思えません」

「それで、私の出番と言うわけですか」

「はい。ハテ殿なら今回の事件を解決できると思います」

 私は迷わず答える。

「了承した。とことんやってみよう」

 この問題を解決して見ようと思う。

2

 出発する前だった。玄関でシウが話しかけてきた。

「なあ、親父」

「どうした、シス?」

「本当にあいつなのか?」

「ダイデスがどうした?」

「逃げ方がいい」

「?」

 シスは弱気だった。無理もない。
 ダイデスは兄弟たちの中でも上位に入る強さを持ち上から3番目に位置する。強い理由は本体にある。
 本体は完全な世界と化しており永遠に広がっている。そのため、倒しようがない。化身を倒しても意思が本体へ帰るので意味はない。無敵としか言いようがない。

「それに、ダイデスが何をしていのかわかるか?」

「ああ。予想としては冥葬「カルマ刈り」だろう」

 冥葬「カルマ刈り」。今いる世界にいて特定の場所にいるカルマの高い者を一人残らず殺す神の奥義。
 使えるのは最上級神、原初神と言った神力が強い者でしか行えない。しかも、死の力に精通しないといけないので実質ダイデス専用の奥義と言った感じだ。
 ダイデスならこの世界全体の人間を対象として発動してもおかしくないが、なぜラグナロク帝国だけ狙った?

「考えても仕方ないな。ラグナロク帝国に行くか」

「アタシもついていったいいか?」

「いいぞ」

*3
 私はシウとともにラグナロク帝国へ転移した。
 青い空の太陽の光が差し込む。街の情景は混乱しているだろうと思った。

「?」

 しかし、それは私の予想を外れた。町は何事もなく活気づいておりいたって普通だった。それどころか国の中枢にダメージが入っているのに何も気にせず歩いている。
 何がどうしたらここまで平常でいられる?
 子供も何の異常も感じず町を歩いている。
 何がどうしたらこうなる?
 私は歩いている男性に話しかけた。

「すいません」

「ん? 何でしょうか?」

 男性の声はいたって普通だ。おびえてたり身構えたりしていない。

「ここで神罰事変が起きていたとか……」

「ああ、ありましたね」

「あの後、ここは……」

「よく言われましたよ。お偉いさん方が大勢死んでどうにかなるんじゃないのかって。
 でも、お偉いさんたちが緊急で用意した人たちがいたんですよ」

「緊急?」

「その人達は政治が前の人達よりもうまくってお陰で町のみんなは満足していますよ。
 神罰事変っていいますけど私達からすれば入れ替えですよ! はははは」

 なるほど。ダイデスは混乱にそなえて用意した人材だろう。
 中枢にダメージが入るも前もって用意した人材を潜り込ませて制圧したということか。それなら国内におけるダメージを最小限に抑えられるということか。
 町の人間の反応をみればうなづける。

「よし、次行くか」

「ん、どこえ?」

「黒い騎士団へ行く」


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